法務局の下記説明では対象者ごとに【集める書類】の説明がされています。
<相続による所有権の登記の申請に必要な書類とその入手先等 >
https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/content/001393744.pdf
今日は、遺言書がある場合(法定相続人が相続する場合) の場合における【集める書類】について説明します。
① 亡くなられた方(被相続人)
■ 遺言書(自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言)
遺言書は、自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言の3種類が記載されておりますが、まずは自筆証書遺言について説明します。
<自筆証書遺言>
その名の通り、自筆(手書き)の遺言書になります。
原則、家庭裁判所で「検認」手続きが必要になります。検認を受けた遺言書には「検認済証明書」が綴られて、当該遺言書に契印がなされます。この検認済証明書が綴られている自筆証書遺言でなければ、法務局への不動産登記申請は通りません。
但し、法務局に保管されていた自筆証書遺言でしたら、上記の「検認」手続きは不要です。法務局の自筆証書遺言保管制度は、比較的新しい制度のため、今後増えていくかもしれません。
<公正証書遺言>
公正証書遺言は、証人2人以上立会いのもと、公証人が、遺言者の面前で口授し、遺言者の意思を文章にまとめて作成する遺言書になります。こちらの遺言書の場合については、「検認」手続きは不要です。そのまま不動産登記申請に使用することが可能です。
<秘密証書遺言>
詳しい説明は別で書きますが、自筆証書遺言の一種になります。ですので、家庭裁判所の「検認」手続きが必要です。不動産登記申請の前に、遺言書の検認手続きを済ませる必要があります。
■ 戸籍謄本(戸籍事項証明書) 除籍謄本 改製原戸籍
亡くなられた方(被相続人)の出生から死亡までの連続した戸籍が必要になります。
戸籍とは、家族構成や身分関係を記録する公的文書です。基本的には、本籍地のある市役所や区役所などで入手可能となります。
注意する点として、亡くなられた方の戸籍は死亡が確認できる戸籍1通だけではありません。
出生時に記録された戸籍(A)から婚姻を機に新しい戸籍(B)が作成されたとします。 そしてその後、転籍してまた新しく戸籍(C)が作成され、そのまま死亡したとすると、(A)(B)(C)全ての戸籍(出生から死亡まで連続した戸籍)を集めなければいけません。
戸籍は、家族関係の変化や本籍地を変更する届出をすると、現在の戸籍から新しい戸籍が新規作成される仕組みになっているため、一生涯で何回か戸籍が作成されることが通常です。
これらすべてを出生から死亡まで 連続した戸籍をもって、被相続人の配偶者、子供、父母、兄弟姉妹の有無などを証明することで、相続人を確定します。
■ 住民票の除票 又は 戸籍の附票
不動産登記簿に記載されている所有者と亡くなられた方の同一性を証明するために、不動産登記簿の住所と亡くなった当時の住所が一致している必要があります。
登記簿上の住所と亡くなった当時の住所が異なる場合は、住所の履歴を住民票の除票もしくは、戸籍の附票で証明する必要があります。住民票の除票は、住所地の役所にて入手可能です。戸籍の附票は、本籍地のある市役所や区役所などで入手可能となります。
② 法定相続人
■ 戸籍謄本(抄本)(戸籍事項証明書)
亡くなられた方の死亡日以降に発行されたものが必要になります。
相続人として現在も生存していることを確認するためです。これは各法定相続人の本籍地のある市役所や区役所などで入手可能です。マイナンバーカードをお持ちの方はコンビニエンスストア等でも入手可能です。(ただし、一部地域によっては未対応の地域もあります。)
■ 住民票
所有者の住所は、登記事項になります。そのため登記申請時に法務局へ住民票の提出が必要です。これは新しく所有者(=登記名義人)になる方全員が必要なものになります。
ご存じかと思いますが、住所地である市役所や区役所などで入手可能です。マイナンバーカードをお持ちの方はコンビニエンスストア等でも入手可能です。(ただし、一部地域によっては未対応の地域もあります。)
■ 固定資産課税明細書
最新年度の固定資産課税明細書が必要です。
年度始まりの4月1日過ぎると、市区町村から送付されてきているものです。
事案に応じて、上記以外にも必要な書類がある場合があります。 ご相続が発生時には、専門家にご相談することをおすすめいたします。